《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!
「ひあっっ?!」
見上げた騎士の首から上には、血飛沫と、澄み渡った空があった。
馬の背後に丸っこい石のような何かが転がっていく。けれど、ユフィリアの身体は硬直した騎士の腕に抱えられたままだ。
「ユフィリア!」
聞き慣れた声が背後から追ってくる。切羽詰まった、どこか不安そうな声。
刹那、彼は今こんな表情《かお》をしているだろう、なんて想像してしまう……声色と同じの、不安と心配でいっぱいな顔だ。
「レオ……?」
反射的に振り返る。
魔力がジリジリと帯電するように帯びる長剣を、腰元の鞘に収めながら突進してくるレオヴァルトの姿を確かに認めた、その時。
ユフィリアを抱えていた首なしの騎士の腕の力がずるりと弛緩した。
あっ、と声を上げる間も無く、身体が堕ちていく──。
馬の足音が消える。まるで時が止まったような静寂に包まれている、とても不思議な感覚だ。
研ぎ澄まされた静寂のなか、青白く輝く光に包まれたユフィリアの身体は、虚空に留まっていた。
ガガッ、と唐突に轟音が戻る。ユフィリアの好きな筋肉質の力強い二の腕が、浮いた身体をしっかりと捕まえてくれたのがわかる。
そう言えば、と思い出す。
前にもこんなことがあったっけ。
木から落ちた鳥の雛を助けて、今度は私が木から降りられなくなってた時。レオが私を木の下で受け止めてくれて──。
思えば、互いの身体に触れたのは、あれが初めてだった。
見上げた騎士の首から上には、血飛沫と、澄み渡った空があった。
馬の背後に丸っこい石のような何かが転がっていく。けれど、ユフィリアの身体は硬直した騎士の腕に抱えられたままだ。
「ユフィリア!」
聞き慣れた声が背後から追ってくる。切羽詰まった、どこか不安そうな声。
刹那、彼は今こんな表情《かお》をしているだろう、なんて想像してしまう……声色と同じの、不安と心配でいっぱいな顔だ。
「レオ……?」
反射的に振り返る。
魔力がジリジリと帯電するように帯びる長剣を、腰元の鞘に収めながら突進してくるレオヴァルトの姿を確かに認めた、その時。
ユフィリアを抱えていた首なしの騎士の腕の力がずるりと弛緩した。
あっ、と声を上げる間も無く、身体が堕ちていく──。
馬の足音が消える。まるで時が止まったような静寂に包まれている、とても不思議な感覚だ。
研ぎ澄まされた静寂のなか、青白く輝く光に包まれたユフィリアの身体は、虚空に留まっていた。
ガガッ、と唐突に轟音が戻る。ユフィリアの好きな筋肉質の力強い二の腕が、浮いた身体をしっかりと捕まえてくれたのがわかる。
そう言えば、と思い出す。
前にもこんなことがあったっけ。
木から落ちた鳥の雛を助けて、今度は私が木から降りられなくなってた時。レオが私を木の下で受け止めてくれて──。
思えば、互いの身体に触れたのは、あれが初めてだった。