《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を甘く蕩かす〜やり直しの求愛は拒否します!
「どうした、奴に何かされたのか?!」
遠のく意識の中であっても、ユフィリアの指先はレオヴァルトの柔らかな頬を求めて彷徨っている。
その指先を裏切る事なく大きな手のひらが捕まえて、望むまま自分の頬にあてがってくれる。
「ううん……たぶん平気……薬を……盛られただけ、だから」
「すまなかったな、私としたことがあなたから目を離してしまった。すぐ解毒してやるから、抗え! できるだけ意識を保て、ユフィリア!」
ああ、遠のいてしまう彼の声の代わりに、波のように押し寄せるこの幸福感はどこから来るのだろう。
レオヴァルトが身を案じてくれている。ただそれだけの事が、こんなにも嬉しい。
──聖女である私が、人を殺める行為を黙認する罪深さに気付いている。私は、もう知っている。レオヴァルト、つまりは夫に対するこの気持ちが、恋心だと。
「私は子《スペア》を望まぬ。よって、私があなたを抱くことはない」
レオヴァルトに宣言された初夜。
互いに望まぬ結婚を強いられたあの日から、怒涛の一年が過ぎようとしていた。
遠のく意識の中であっても、ユフィリアの指先はレオヴァルトの柔らかな頬を求めて彷徨っている。
その指先を裏切る事なく大きな手のひらが捕まえて、望むまま自分の頬にあてがってくれる。
「ううん……たぶん平気……薬を……盛られただけ、だから」
「すまなかったな、私としたことがあなたから目を離してしまった。すぐ解毒してやるから、抗え! できるだけ意識を保て、ユフィリア!」
ああ、遠のいてしまう彼の声の代わりに、波のように押し寄せるこの幸福感はどこから来るのだろう。
レオヴァルトが身を案じてくれている。ただそれだけの事が、こんなにも嬉しい。
──聖女である私が、人を殺める行為を黙認する罪深さに気付いている。私は、もう知っている。レオヴァルト、つまりは夫に対するこの気持ちが、恋心だと。
「私は子《スペア》を望まぬ。よって、私があなたを抱くことはない」
レオヴァルトに宣言された初夜。
互いに望まぬ結婚を強いられたあの日から、怒涛の一年が過ぎようとしていた。