男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました
私がキールとは対象的になるように設定した男主人公だ。
クールで冷徹感、だけど実際は優しい人。特にヒロインのマリーゴールドにはほかの令嬢とは一線を引くように、一途に優しい男。
……って設定だったと思うけど、私が思ってたよりマリーゴールド以外の人にも優しいんだな。
なんて、私がリアルなこの世界でレオンのことを分析している間、キールはあからさまな不快感をその整った顔の上に表した。
キールはキールで、なんともわかりやすい男だ。私が作者だからなのかな? 彼のことを知っているだけに、その表情を他者よりも読み取っているのもあるかもしれないけど、それでもやっぱり露骨だと思う。
「リーチェ男爵令嬢」
必死に抑えようとしている怒りを、奥歯で必死に噛みしめ、前髪を掻きあげた。
一連の動きも絵になるような美男子なのに、今はもう一ミリも心が揺さぶられない。
なんとも残念な気持ちにさせてくれる男だ。せっかく私の全霊をかけて作り上げた容姿だというのに。
「なんでしょう?」
キールをこのような性格に設定したのは私だというのに、それでも残念な奴というレッテルが拭いきれず、思った以上にそっけない返答になってしまった。
それに気づかないほどキールも馬鹿ではなかったようで、宝石のような瞳が、切っ先の鋭い刃物のような視線を投げてきた。
「次回また会えるのを、楽しみにしているぞ」
いや、こちらは全くもって、会いたくないんだけど。
寸前のところまで出かかっていた言葉を何とか食い止めたが、キールは相変わらず私を睨みつけていた。
「俺に恥をかかせて、タダで済むと思うなよ」
ポツリと捨て台詞を残し、キールは身を翻した。
コツコツと聞こえる足音すら、彼の怒りが伝わってくるようで、今更ながら頭に上っていた熱が下がってきた。
……とりあえず、キールが現れそうなパーティは出られないな。
でもアイツ、私をわざわざ探してまで参加する予定のなかったパーティに来たくらいだから、私が出席するパーティを選んだところで、避けることはできないかも……。
クールで冷徹感、だけど実際は優しい人。特にヒロインのマリーゴールドにはほかの令嬢とは一線を引くように、一途に優しい男。
……って設定だったと思うけど、私が思ってたよりマリーゴールド以外の人にも優しいんだな。
なんて、私がリアルなこの世界でレオンのことを分析している間、キールはあからさまな不快感をその整った顔の上に表した。
キールはキールで、なんともわかりやすい男だ。私が作者だからなのかな? 彼のことを知っているだけに、その表情を他者よりも読み取っているのもあるかもしれないけど、それでもやっぱり露骨だと思う。
「リーチェ男爵令嬢」
必死に抑えようとしている怒りを、奥歯で必死に噛みしめ、前髪を掻きあげた。
一連の動きも絵になるような美男子なのに、今はもう一ミリも心が揺さぶられない。
なんとも残念な気持ちにさせてくれる男だ。せっかく私の全霊をかけて作り上げた容姿だというのに。
「なんでしょう?」
キールをこのような性格に設定したのは私だというのに、それでも残念な奴というレッテルが拭いきれず、思った以上にそっけない返答になってしまった。
それに気づかないほどキールも馬鹿ではなかったようで、宝石のような瞳が、切っ先の鋭い刃物のような視線を投げてきた。
「次回また会えるのを、楽しみにしているぞ」
いや、こちらは全くもって、会いたくないんだけど。
寸前のところまで出かかっていた言葉を何とか食い止めたが、キールは相変わらず私を睨みつけていた。
「俺に恥をかかせて、タダで済むと思うなよ」
ポツリと捨て台詞を残し、キールは身を翻した。
コツコツと聞こえる足音すら、彼の怒りが伝わってくるようで、今更ながら頭に上っていた熱が下がってきた。
……とりあえず、キールが現れそうなパーティは出られないな。
でもアイツ、私をわざわざ探してまで参加する予定のなかったパーティに来たくらいだから、私が出席するパーティを選んだところで、避けることはできないかも……。