恋の微熱に溺れて…
「京香さんは今度、二人で出かけたい場所ややってみたいことはありますか?」

いきなりぶっ込み過ぎたかもしれない。これで勘づかない鈍感さが京香さんの良さでもある。

「んー…なんだろ。急には思いつかないけど、お家でまったり映画でも見ながらゆっくりするのも良いなって思う」

お家でまったりするのを提案するのが京香さんらしいなと思った。京香さんとなら一緒に過ごせるだけで、俺は嬉しいが。

「いいですね。翌週はお家でまったりしましょう」

もっと色んな場所へ京香さんと出かけてみたいが、何もせずにゆっくりまったり一緒に過ごすのもそれはそれでいい。
いつか京香さんと同棲したい。同棲したい気持ちを、京香さんに伝えたい。真剣に将来のことまで考えた同棲だと。
でも今はまだお家でまったり一緒に過ごし、同棲気分を味わう。それだけで俺は幸せだ。

「来週、お邪魔させてもらうね。楽しみだな…」

俺も既に来週が楽しみだ。どんなお家デートを過ごそうか、想像ばかりが膨らむ。
その前に今日のデートを成功させる方が大事だ。サプライズという大きなミッションを決行中なのだから。

「せっかくなので、お揃いのパジャマでも買います?一緒に買いに行きませんか?」

話題を膨らませようと一生懸命考えるが、今日の俺の意識はサプライズにもってかれているため、会話が上手く噛み合っていない。
でもきっと京香さんは、そんな俺の挙動不審さに気づいておらず。運転に集中しているから…としか思っていないはず。
いやそれすら怪しい。何も気づかずに何とも思っていない可能性の方が高い。
こういう時に限り、勘が鋭い人よりはサプライズしやすいのは利点だが、変な人に騙されないか心配にもなった。
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