恋の微熱に溺れて…
「…もう。慧くんったら」

照れて恥ずかしくなり、顔を真っ赤にさせている。俺はそんな京香さんの姿を見て、思わず笑みが零れた。

「そろそろ目的地に着きます」

唐突にこの場の空気を変えた。もうすぐ目的地に着くのも本当だが、話題を変えずにこのままずっと話を続けていたら、目的を忘れてホテルへ直行してしまいそうだから。
それでは今まで準備してきた意味がないので、ここは準備通りに事を進めようと思う。その代わり、盛大に成功させてみせる。京香さんに喜んでもらうために。

「そうなの?一体、どんな所に連れてかれるんだろう?うわぁ…、緊張してきた。でも同時に楽しみだな…」

隣でワクワクしている京香さんが可愛い。何をするにもこうやって喜んでもらえるので、俺としては嬉しいし、色々計画しがいがある。

「もうすぐ答えが分かりますので。もう着きますよ」

俺は目的地の近くの駐車場に車を停めた。お店が都会のどん真ん中にあるため、さすがに店の前に車を停められないし、そもそもお店専用の駐車場がない。
都会ではよくある光景なので、近場の駐車場を探すのも大切な事前準備だ。相手を不安に思わせないエスコート力として。

「さて。目的地まで歩いて向かいましょう」

手を繋いで目的地まで向かった。本当は目的地まで目隠しして連れて行き、着いた途端、目隠しを外す…というのを考えたが、その方が逆に京香さんに不信感を抱かれてしまいそうなので、普通に目的地まで連れていくことにした。

「ここが目的地です」

駐車場から歩いて数分後、あっという間に目的地まで着いた。
迷わないように、駐車場から目的地まで歩く練習を事前にしておいた。なんでも事前に練習しておかないと不安だ。初めて行く場所だから。
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