恋の微熱に溺れて…
「京香さん。実は今日、俺達が付き合って半年なんです。その記念のお祝いにサプライズを用意させてもらいました。京香さんに喜んでもらいたくて…」

ようやくネタばらしができた。それだけで肩の荷が軽くなった。

「そうだったんだ。嬉しい。ありがとう」

とびっきりの笑顔で喜んでくれた。想像通りの反応を示してもらえたので、俺の方が救われた。

「よかった。喜んでもらえて。あの…。これが今日、予約したコース料理なんですけど、苦手なのとかありますか?」

できればないことを願う。せっかくの特別な日だからこそ、京香さんに好きなものを食べてほしい。

「んー…そうだな。特にないから大丈夫だよ」

その言葉を聞き、安心した。京香さんに美味しいものを食べてもらえると分かって。

「それならよかったです。それじゃドリンクだけ注文しないといけないので、飲みたいドリンクを決めてもらってもいいですか?」

メニュー表を見ながら、ドリンクを選ぶ。俺は今日、運転手なのでもちろんお酒は飲めない。
京香さんは同乗者なので、飲んでもらっても構わない。好きなようにしてもらえたら幸いだ。
でもきっと京香さんは飲まない。俺が飲めないのに自分だけ飲むことは気にしてしまう質だから。
それでも俺は、京香さんが飲みたいと思うものを飲んでもらうことが、一番の願いだ。

「決まりましたか?」

俺がそう問いかけると、京香さんは首を縦に頷いた。

「うん。決まったよ。慧くんは?」

「俺も決まりました。店員さんを呼んで、注文しちゃいましょうか」
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