恋の微熱に溺れて…
「そう言ってくださり、幸いです。家に着いたら早速、一杯飲みましょうね」

一仕事したのだから、その権利はある。それに休みなのだから、昼間から飲んでも問題ない。

「そうしよう。そのためにも頑張って帰るぞ」

荷物が重かったこともあり、行きに比べて帰りは時間がかかった。
それすら本当に楽しい時間に様変わりしたので、寧ろ得した気分だ。

「さて、まずは買ってきたものを冷蔵庫に入れますか」

生物はできるだけ早く冷蔵庫の中に入れたほうがいい。冬なので夏に比べれば大丈夫かもしれないが、忘れて放置してしまったらせっかく買ったのに、美味しい食べ物が食べられなくなってしまう。
それに面倒なことは先に終わらせておいた方が後々楽だ。お酒を飲んでゆっくりしたいので、ササッとやってしまおう。

「ねぇ、慧くん。私も一緒にやりたいんだけど、何をすればいい?」

彼氏とはいえども人の家の冷蔵庫なので、勝手に冷蔵庫の中を見たり、中のものを触ったりするのは気が引ける。
それに人それぞれ冷蔵庫の中の物の配置は違う。大体は同じだと思うが、慧くんには慧くんのルールがあると思うので、できればそれに従いたい。

「そうですね、それじゃ京香さんは野菜や冷凍食品などをお願いします」

ついでに必要なものも購入したので、お正月とは関係ないものもある。

「了解!任せて」

言われた通りの物をあるべき場所に入れる。分からないものはちゃんと慧くんに聞いた。
二人で手分けしてやったため、すぐに終わった。

「京香さん、手伝って下さりありがとうございます。助かりました。早速お礼にお酒を飲んでください」

日本酒は明日が本番なので、今日はまだ早い。
慧くんもそう思ったのか、ビールを渡してくれた。

「ありがとう。それじゃいただきます…」

缶の蓋を開け、一気に喉にビールを流し込む。
一仕事を終えた身体にはビールの泡が染みた。

「…んー、美味しい」

昼間から飲むという背徳感がより美味しさを増す。

「それじゃ俺も。いただきます」

慧くんもビールの缶の蓋を開け、飲み始めた。
二人で昼間から飲むビールは最高の時間だ。
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