恋の微熱に溺れて…


           *


そしてバレンタイン当日…。
バレンタイン当日は平日なため、会社帰りに慧くん家に寄って渡すことになった。
やっと仕事を終え、慧くん家に到着した。

「お邪魔します…」

今からチョコを渡すと思うと、途端に緊張してきた。
今までバレンタインに本命チョコを渡したことは一度もない。
幼稚園だか小学生の時に友達と一緒に渡したことならあるが、友達に一緒に渡して欲しいと頼まれて渡したので、自らの意思ではないため本命チョコにカウントされない。寧ろ義理チョコだ。
人生初の本命チョコ。しかも手作り…。慧くんのお口に合うことを願うのみ…。

「どうぞ。ゆっくりしていってくださいね」

とは言えども明日も仕事なので、今日は早めにお暇する予定だ。
目的はバレンタインのチョコを渡すことなので、無事にチョコを渡せれば今日はそれだけでいい。
とにかくチョコを渡すために、私はまず洗面所で手洗いうがいをし、そのままリビングへと向かい、ソファに腰掛けた。

「よかったらお茶をどうぞ」

慧くんがお茶を出してくれた。せっかくなのでいただくことにした。

「ありがとう。いただきます…」

緊張して乾いている喉をお茶で潤した。
喉を潤したことで緊張が和らいだ。
なのでそのままチョコを渡すことにした。

「慧くん、バレンタインチョコです。よかったらもらってください…」

鞄の中から可愛くラッピングしたバレンタインチョコを手渡すと、慧くんの表情は一気に明るくなった。

「ありがとうございます。めちゃくちゃ嬉しいです……」

最初、お願いされた時は困ったけれど、今は手作りをしてよかったと手作りチョコを渡した時の彼の表情を見てそう思った。
来年もまた頑張って作れるか分からないけれど、彼の素敵な笑顔を見てしまったので、また来年も作りたいと思った…。

「喜んでもらえてよかった。味は保証できないけど、よかったら食べてね…」

優希と一緒に作ったので、多分大丈夫だ。

「それじゃ早速、いただきます…」

包装を解いて、箱の蓋を開けた。箱の中には先日作った生チョコとガトーショコラが入っている。

「美味しそう…。いただきます」

彼はまず、ガトーショコラに手を伸ばした。
そしてそのままガトーショコラを食べた。

「…んー、めちゃくちゃ美味しいです!」

チョコをもらった時以上に明るい表情で彼はそう言った。
一応味見をして味を知っているが、慧くんのお口に合うかずっと不安だった。
彼のお口に合ったみたいで安心した…。

「よかった。慧くんにそう言ってもらえて何よりです」

「お世辞ではなく、本当にお店で売ってるものみたいに美味しいですよ。次は生チョコを食べますね…」

今度は生チョコに手を伸ばし、生チョコを食べ始めた。

「…生チョコも美味しいです。何個でも無限に食べれちゃいそうです」

そう言って、彼は再び生チョコを食べ始めた。相当生チョコが気に入ったようだ。

「よかった。生チョコも美味しかったみたいで」

好きな人に手作りの物を渡すって、こんなにも幸せを感じるなんて知らなかった。
これからもこうやってお互いに愛を感じられる贈り物を送り合えたらいいなと思った。

「俺の我儘を聞いて下さり、ありがとうございます。本当に嬉しかったです。ホワイトデー楽しみにしててくださいね」

どんなお返しをもらえるのか今から楽しみだ。期待して待っていようと思う。

「うん、分かった。楽しみにしてるね」

彼との愛の絆がより深く育まれた。彼のことが更に好きになったのであった…。
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