恋の微熱に溺れて…

15度:新たな試練

慧くんとお付き合いを始めてもうすぐで一年を迎える…。
色んなイベントを二人で乗り越えて来たので、まだ一年も経っていないことに驚いている。
同棲をしたいと思いつつ、二人で一緒に住むお家を探しているが、なかなか条件に合う物件が見つからず…、まだ一緒に住むことができていない。
それでも一緒に居る時間は前より増えているため、それはそれで良いのかもしれない。
できれば早く一緒に住む家を見つけたいが、焦っても仕方がないので気長に待つとしよう。

家が見つからない今は、ほぼ毎日慧くん家で一緒に過ごしている。
もうこのまま慧くん家に住む形でもいいのでは?と最近はそう思い始めている。
こればかりは慧くんの家なので、慧くん次第だが…。私はそれでもいいと思っている。
そんな今日も仕事終わりにいつも通り、慧くん家に寄る予定だ。
早く仕事を終わらせ、定時に退社することができた。鞄を持ち、席を立った。
同僚に「お疲れ様です」と一言告げ、タイムカードを押して会社を出た。
どうやら彼も仕事を定時までに終わらせることができたみたいで。二人して同じタイミングでタイムカードを押していたみたいだ。

「偶然、タイミングが被りましたね…」

意識してできるなら、毎日同じタイミングで仕事を終わらせたいところだ。
それがなかなかできないから、こうして同じタイミングで仕事を終わらせることができた時はより幸福感が倍増する。

「本当だね。びっくりしたよ…」

慧くんとは会社の近くのお店や駅で待ち合わせをすることが多い。
今は冬で寒い時期なので、お店で待ち合わせをしている。

「せっかく一緒に仕事を終えることができたので、早く家へ帰りましょうか」

まだ会社に人はたくさんいる。
でも慧くんは人目なんて気にせずに手を差し伸べてきた。

「そうだね。早く帰ろっか」

私はその手を取り、手を繋いだ。
もう人目を気にするのを止めた。逆に彼とお付き合いしていることを堂々と見せることにした。

「今日の夕飯は何にしますか?」

夕方ということもあり肌寒いので、今の気分は鍋だ。

「鍋がいいな。寒いから温かいものが食べたい」

「いいですね。俺も鍋がいいなって思ってました」

やっぱり寒い季節は鍋が食べたいと思う頻度が高くなる。
正直、鍋は料理をする身としても楽だ。具材を切って煮るだけで済むのでお手軽だ。

「それじゃ鍋で決定で。楽しみですね…」
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