恋の微熱に溺れて…
「いただきます…」

ローストビーフもこの辺のスーパーで売っているようなお惣菜のものではなく、どう見てもお店で注文して作ってもらった高価なものだ。
食べた瞬間、お肉の柔らかさと旨味に舌鼓を打った。あまりの美味しさに感動した。

「…慧くん、色々準備してくれてありがとう。ご馳走もプロポーズも嬉しい」

慧くんはいつだって私を喜ばせる天才だ。いつもこうやってサプライズを用意してくれる。
こんなにも愛されていると実感することができて、私は本当に幸せ者だなと思った。

「今日はずっと緊張してたので、プロポーズもご馳走も含め、上手くいくかドキドキしてました…」

今思えば、どうしてソワソワしていたのか分かった。
そんな慧くんを知っているからこそ、私は彼を愛おしく思うのであった。

「そうだったんだね。私はその気持ちが嬉しかったよ」

私の素直な想いを伝えた。これから夫婦になるのだから、お互いに思ったことを話し合えるのは大事だ。

「そう言ってもらえてこちらこそ嬉しいです。これから二人で一緒に幸せな家庭を築き上げていきましょうね」

慧くんとなら幸せな家庭を築き上げることができる自信がある。
近い将来、慧くんとの子供が欲しいと強くそう思った。

「そうだね。二人で一緒に築き上げていこうね」

何もなかった私の人生に、誰かを愛する幸せを知った。それだけで人生が彩り豊かになった。
恋は甘いけれど、時に熱を帯びるような刺激的な一面もあって。
その熱に溺れてしまった私は、もうこの熱から抜け出せないのであった。


　　　　　　　　　　-END-
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