激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
千暁と律は手分けして紫緒を探した。
律は大使館を、千暁はその奥の公邸へと入り込む。
見つからないように慎重に、だが急いで中へと入り込む。
一階はリビングなどがあり、無人だった。
二階に客室や主寝室があるのか。
千暁は慎重に階段をのぼる。
と、すぐに警備員の姿が目に入った。
警備員は千暁を見てすぐに手を口元にやる。
おそらくは連絡を入れられた。袖口にマイクがあるのだろう。
見られたのはまずいが、逆に中に人がいることが確実だとわかった。
強行突破するか。話してどうにかなるのか。
千暁は無表情を装い、近付いた。
警備員はすかさず身構える。
『中にいる人に用があります』
千暁は英語で話しかける。
「NO」
警備員が答える。
『大使から用事です』
『NO』
警備員は頑なに通そうとしない。
仕方ない。
千暁は声を張り上げた。
「紫緒さん、いますか! いたら返事をしてください!」
直後、警備員が千暁を取り押さえようとする。
が、千暁はするりと水のようにすりぬけ、ドアをノックする。