激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
数日後の休日、彩陽が訪ねて来て言った。
「またお使いを頼みたいの」
一瞬、返答に迷った。また気晴らしだろうか。
だが、本当にお使いだった場合を考え、引き受けた。
彩陽は今回も紫緒を着飾った。それでさらに疑いが強くなった。前回の反省から自分の靴を履いて行くことにした。
渡された封筒を手に、ムーサ・アーティストプロダクションに向かう。
事務所は普通のオフィスに見えた。芸能人らしき人たちのポスターが貼ってあるのが印象的だった。
受付で名乗ると、すぐに浮田弘文が現れた。その隣には青い髪の大晴がいる。
「待ってましたよ、連絡もらってましたから。ちょうど大晴もいましてね」
弘文はにこにこと言った。
「どうでもいい用事で呼びつけやがって」
「最近、行き詰ってるんだろ。気晴らしに彼女と一緒に出掛けたら」
紫緒は緊張した。
彩陽の真の目的はこれだろうか。
気難しそうな彼の気を晴らすなんて、そんな大役が務まるだろうか。
「行きたくねー。帰る」
「新しくできたVRアトラクションに行きたいんだろ? リア友がいないからいけないって嘆いてたじゃん」
弘文の言葉に、紫緒の顔がひきつった。
そんなこと知られたい人はいないだろう。
「お前な」
大晴の目に怒りがたぎる。
「VRアトラクションってなんですか?」
とっさに紫緒は尋ねた。