激流のような誠愛を秘めた神主は新米巫女を離さない
「そんなことも知らねーの。VRはわかるよな?」
 ふん、と大晴が鼻を鳴らす。

「ヴァーチャルリアリティ、ですよね」
「それのアトラクション」
 省略しすぎだ、と紫緒は首をかしげる。

「ほら、わからないみたいだよ。連れてってあげなよ」
 弘文がさらに押す。
「お前、行きたいのか?」
 うなるように大晴が尋ねる。
 紫緒は一瞬迷い、すぐに決断した。

「行きたいです」
「仕方ないな」
 大晴は不満そうに言う。が、どことなくうれしそうだった。



 電車に乗って新宿へ出る。
 車内では会話は続かず、居心地が悪かった。
 新宿のビルの一角にVRアトラクションの施設が入っていた。ほかの階にはボーリングやカラオケ、ゲームセンターなどの遊戯施設がそろい、上階にはレストランや居酒屋もある。
 受付をすませて説明を受けた。

 気合をためて撃ち合うゲームだ。
 一人分のブースにそれぞれ立つ。手首に専用の装置、顔にはVRゴーグルをつけた。

 目の前に、草原と青空が広がった。
 立ち位置などを自動音声に従って調整する。手足を動かすと、目の前に表示されたキャラクターが同じ動きをする。
 紫緒はわくわくと手足を動かした。
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