🍞 ブレッド 🍞 ~フィレンツェとニューヨークとパンと恋と夢と未来の物語~【新編集版】
「これ」

 翌日の夜、店仕舞いをしていると、アンドレアが封筒とUSBメモリーを差し出した。

「何?」

「手紙」

「手紙?」

「俺が代筆した」

「代筆?」

「いいから読んで」

 受け取った弦が取り出すと、用紙が2 枚出てきた。
 一つはフローラ宛で、一つはウェスタ宛だった。
 どちらも英語で印刷されていたが、フローラへの手紙は日本語にしろと言う。

「それからこれ」

 渡されたのは写真で、弦の働く姿が写っていた。

「今日ママにこっそり撮ってもらったんだ。これも同封すればいいよ」

 弦は手に持った手紙とUSBメモリーと写真をしばらく見つめたあと、アンドレアに視線を戻した。

「どうして?」

「別に……」

 表情を隠すようにうつむいた。

「これくらいしないと俺の気が済まないから」

 言い終わると、自宅への階段を上がっていったが、途中で立ち止まった。

「ありがとう。感謝してる」

 背を向けたまま言って、振り向かずに階段を上っていった。

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