🍞 ブレッド 🍞 ~フィレンツェとニューヨークとパンと恋と夢と未来の物語~【新編集版】
 3日後、フローラに突然の辞令が下りた。
 長期出張の命令だった。
 行先は、なんと日本だった。
 あの憧れの日本だった。
 目的は漢方と薬膳の調査だった。
 将来の事業展開を検討するプロジェクトチームがこの二つを推挙し、トップの承認が下りたのだという。
 上司からは「薬草栽培から始まったサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局にとって必要不可欠な選択であり、それを遂行する者として日本語が堪能なフローラが最適であると判断された」と告げられた。

 それを聞いた途端、床にへたり込みそうになった。
 なんとか我慢したが、信じられない思いで体がふわふわとしていた。

 豊穣の女神様……、

 あの時の予言を思い出した。

 このことだったのですね、

 心の中で呟くと、女神像の微笑みが浮かんできた。

 ありがとうございます。

 フローラは首を垂れて十字を切った。

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