任侠☆バイオレンスラブ

樹さんについて行くと、台所までたどり着く。



台所で何するんだろう。



「そこで座って待ってろ」



「はい」



台所にある小さめの机と椅子が置いてある場所を指差す。



言われるがままに椅子に腰かけ、樹さんの後ろ姿を見つめる。



樹さんは、冷蔵庫からご飯、卵、ソーセージなどを取り出した。



もしかして・・・ご飯作ってくれるの?



そんなことを思いつつ、樹さんのことを目で追う。



テキパキと下ごしらえをして、フライパンにご飯などを入れた。



ジューっという音が台所に響き渡るのを聞き、そこまで空腹だとは感じていなかったはずなのに、急激にお腹がすいてくる。



樹さんは馴れた手つきでフライパンを動かしながら、ご飯を炒めていく。



材料からして、チャーハンかな?



そんなことを思いながら待っていると、ガラッと扉が開いた。



そこには、伊瀬さんともう1人知らない男の人が伊瀬さんの後ろに立っていた。



「あー、腹減った──あれ?白石さん?どうしたの?」



「あ、いえ。樹さんに来いと言われて・・・」



「・・・しらいし?」



伊瀬さんが私に気付いたのか、声をかけてきた。



その声を聞いて、後ろにいた男の人もひょこっと顔を出す。



「・・・あぁ、組長が言ってたお嬢さんか。俺、矢吹 圭介(やぶき けいすけ)だ。アンタの警護役になったから、よろしくなー」



「あ、白石 芽依です。よろしくお願いします」



そういえば、組長さんが言ってた名前の中に“圭介”って人居たな。



そんなことを思いながら、矢吹さんに挨拶をした。



「樹さん、何作ってんですか?俺らにもくださいよ」



台所の中に入り、樹さんの隣に立って作ってるものをのぞき込む伊瀬さん。



それに気付いた樹さんは、チラッと伊瀬さんを見たあとに視線を直ぐにフライパンへと戻す。



「お前らの分はねぇ」



「えぇー、ケチー」



「うるせぇ、自分で作れ」



そう言いながら、皿を出して盛り付けをし始める。



ホカホカと湯気を上げながら皿に乗っていく。



私が思った通り、作っていたのははチャーハンだった。



「ほら、食え」



振り向きながら短くそう言い、チャーハンの乗った皿を私の前に置く樹さん。



忘れるところだった、とスプーンも差し出してきた。



「あの・・・いいんですか?」



「俺は腹減ってねぇ。こいつらは自分で作るから、それはお前が食え」



「・・・はい、いただきます」



確認を取ってからスプーンを受け取り、スプーンにチャーハンをくすって1口食べる。



すごく美味しい。



私、ご飯は自分で作ってたから・・・誰かの手料理食べたの、久々だ。



「美味しいです、ありがとうございます」



「そうか。腹減ってんだろ?喋ってねぇで食えよ 」



「はい」



言葉は刺々しいものだったけど、口調がとても優しいものだった。



私は、口を閉ざして目の前にあるチャーハンを食べる。



樹さんは私が黙々と食べる様子を、目の前にある椅子に座り、頬杖をつきながら見つめていた。


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