任侠☆バイオレンスラブ
樹さんに作ってもらったチャーハンを食べ終わり、片付けを始めようとする。
「待て、俺がやる」
「え?でも・・・」
「いいから貸せ」
「あ・・・ありがとうございます・・・」
申し訳なく思いつつも、これ以上食い下がるのも悪いだろう。
そう思ってその言葉に甘えたんだけど伊瀬さん達が妙な顔をしている。
もしかして、まずいことでもしたかな・・・?
「あの・・・どうしたんですか?妙な顔してますけど・・・もしかして、樹さんに頼んだのまずかったですか?」
不安に思った私は、伊瀬さんに小声で聞いてみる。
もし悪いことしてたら謝らなきゃだし・・・。
「ん?ううん、違う違う。樹さんがあんな風なの、珍しいなって思ってさ」
「あんな?」
「普段は“自分でやれ”って突っぱねてるからさ。俺がやる、なんて言ったの初めて見たから、びっくりして」
「そうなんですか?」
意外なことを聞き、驚いてしまう。
確かに、さっき伊瀬さんが“俺達のも作って”って言った時、“自分で作れ”って言ってたな。
じゃあ、なんで私のはやってくれたんだろう・・・?
「それに、樹さんが案内するって言い出したのも驚いたな。だって、いつもは──」
「新一、喋ってねぇでさっさと食え」
伊瀬さんが何かを言おうとした時、それを遮るように私の横に立つ。
私に言った時より少し語気が強かったように聞こえる。
さっきまで洗い物をしてたけど、どうやら洗い物は済んだようだ。
使ったもの全てが綺麗に片付けられている。
「樹さん、片付けありがとうございました。あと、チャーハンもありがとうございます、ご馳走様でした」
「あぁ、構わねぇよ」
伊瀬さん達との会話の時より優しい口調で返事をする樹さん。
その表情も、とても優しいものだった。
「飯食ったんなら風呂に入ってこい。場所覚えているか?」
「えっと・・・なんとか・・・?」
正直、あんまり覚えてないけど、これ以上迷惑をかける訳にはいかない。
そう思い、曖昧に返事をした。
まぁ、屋敷を歩き回れば探し出せるだろう。
「・・・案内する、着いてこい」
「あ・・・ありがとうございます」
そんなことを思っていると、私が覚えていないことを察したのか案内を申し出てくれた。
うぅ・・・察しがいいのも考えものね・・・。
だけど、着替えどうするんだろう。
さすがに制服のまま寝るわけにもいかないし・・・。
「お前、着替えないだろ?今日は姐さんのものを使え。用意してやる。荷物は明日取りに行くから、それまでは我慢しろ」
「はい、ありがとうございます。すみません、何から何まで・・・」
お風呂場に向かう道中、私の考えを読んだのか着替えのことを説明してくれる樹さん。
ここに来てからお世話になりっぱなしだな。
「お前はそれ以上のことをしてくれてたんだ。こんな些細なこと、気にするな」
「そうでしょうか・・・?」
「あぁ。・・・ほら、着いたぞ」
話してる間にお風呂場前までたどり着く。
樹さんはその場で扉を開け、中に入っていく。
「先に入ってろ。あとで姐さんの着替えを持たせる。洗濯物はこのネットの中に入れて洗濯機の中に入れろ」
「はい、ありがとうございます」
お風呂場から洗濯ネットを取り出して、私に渡す。
それを受け取ると、樹さんはお風呂場から出て行った。
ささっと入っちゃお。