任侠☆バイオレンスラブ
兵頭 樹side



俺は、数日前に浜松組の奇襲にあった。



その時は兵頭組に電話をする気力もなく倒れ伏してるだけだった。



そんな時に現れた、制服を着た女。



最初は早くどっか行けよと思った。



だけどそいつは何も知らない俺の事を心配して、救急車を呼ぶなと言う俺を担いで自分の家まで連れて帰った。



帰り道に気を失っちまって覚えてねぇけど、気を失った男を担いで運んだんだろう。



俺は気が付いたら、その女の部屋で寝ていた。



「・・・どこだ?」



体を起こそうとすると、左半身に重みを感じる。



その女が俺が寝ていたベットに伏せて寝てやがった。



しかも、俺の額にはまだ冷たいタオルが乗せられている。



コイツ・・・看病までしてたのかよ。



タオルを手に取り、女を起こさないように起き上がると、サイドテーブルに水の入ったコップと解熱鎮痛剤が置かれていた。



しかも、新品だ。



知らねぇ奴相手に、ここまですんのか・・・。



俺の傍で寝息を立てている女のことを見る。



あどけない顔をして寝ていた。



その顔を見て、どうしようもなく愛おしいという感情が湧いてきた。



「・・・よく知りもしない女にこんな感情持つとはな・・・」



ハァ・・・とため息をついてベットから降りて薬を開け、水と共に飲み込んだ。



少し寝たからさっきより動けそうだ。



「・・・サンキューな・・・」



寝ている女の額に触れるだけのキスを落とし、部屋を出た。



その後は兵頭組で過ごしてたんだが・・・浜松組の偵察に出ていた奴らから、とある女を付けているという情報が入った。



その女の名前は、“白石 芽依”。



俺を助けてくれた女だった。



どうやら、俺を助けたところを浜松組のヤツらに見られていたらしく、その兼ね合いで目をつけられたらしい。



俺はそいつの保護をするために動いた。



元はと言えば、俺の失態から招いたことだ。



親父に直談判をし、うちで匿うことになった。



アイツが兵頭組で生活することになった当日、俺の部屋着を貸した。



風呂から出てきたアイツは、色っぽかった。



火照ったような体に、濡れた髪・・・俺はそっぽを向いた。



ガキになんて感情向けてんだ、俺は。



自分に呆れながら歩いていると、目の前から新一が現れた。



その時、俺は今のこいつを新一に見られたくない、と感じた。



訳の分からないまま、ソイツをタオルで隠した。



もう、自分でも訳が分からねぇ。



しかも、車で送った時に見せたあの可愛らしい笑顔。



俺の中でアイツに対する感情がどんどん募っていく。



「・・・チッ・・・」



アイツが校舎の中に入ってくのを見て、思わず舌打ちする。



こんな感情抱くなんて、思わなかった。



「・・・あれは反則だろ・・・」



頭をぐしゃぐしゃっとかきむしったあと、車へと戻った。



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