このドクターに恋してる
 今は新婚旅行のプランを考えているそうだ。一生に一度のことだから、いっぱい悩んで満足できる旅行にしたいと言っていた。
 後悔しないために悩むことは大事だとも話していて、私も後悔しない人生にしたいと思った。
 希子さんは交際三年になるが、今でも恋人にときめくことがあるらしい。
 何年一緒にいても、ときめくことがあるのは素敵なことだ。

 私は宇部先生と郁巳先生のどちらにときめいただろうか。
 それぞれに接近されて胸が高鳴ったのは事実だ。あんなにもかっこいい人たちだから、ドキドキしてしまうのは仕方ないと思う。
 どちらに、よりときめいたかなと考えると……郁巳先生だったような?
 郁巳先生に笑顔を向けられたときは、心を撃ち抜かれたような感じがした。あの笑顔を思い出すと、今でも顔が熱くなる。
 もちろん宇部先生の笑顔も素敵だ。いつもニコニコしていて、安心感を与えてくれる。
 そう考えると……笑顔でときめき度の高さは測れない。他の面から考えないといけないのかも。

 夕方になり、業務を終えた私は病院を出てバス停の方に体を向けた。一歩進もうとしたとき、後ろから走ってくる足音が聞こえる。
 急いでいる誰かが通り過ぎていくだろうと思い、邪魔にならないよう身を端に寄せる。だが、足音は私の後ろで止まった。
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