このドクターに恋してる
「郁巳となんかあった?」
「あ……はい……」
「教えて。もしかして郁巳と付き合うことになった?」
「いいえ、まだ……」
「まだ? 付き合おうと考えているの?」

 話さなければいけないと思うのに、頭が真っ白になって言葉が出てこない。
 なんて情けなくて、なんて失礼なのだろう。

「陽菜ちゃん」
「は、はい!」
「よかった、目が合った」

 宇部先生からの視線から逃れるよう俯いていた私は呼ばれて、ハッと顔をあげた。ホッとした様子の宇部先生と画面越しで視線が交わる。
 宇部先生はどんな気持ちで私を呼んだのだろう。
 ちゃんと向き合って、ちゃんと伝えなくちゃ……。

「宇部先生はとても優しくて、とても魅力的な人です」
「でも、陽菜ちゃんは俺に興味がないんだよね?」
「興味は……ありました。今も少しあります。宇部先生のプライベートはどんな感じなのかなと想像するくらいに」
「それは好きな芸能人に抱くみたいな感情?」
「そ、そうかもしれないです……すみません」
「なるほどね」

 宇部先生の表情が悲しげになった。
 どうしよう、私のせいだ……。
 でも、ぬか喜びさせるようなことを言えない。ひたすら謝るしかない。
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