このドクターに恋してる
「おはようございます……」

 二日続けて暗い声で出勤の挨拶をする私に希子さんが駆け寄ってきた。

「そんな覇気のない顔になるまで悩んでいるの? まだ答えが出ない?」
「いえ、答えは出ましたけど、覚悟を決めないといけないみたいで」
「えっ、なんの覚悟? どういうこと?」
「私もどういうことなのかわからないです-」

 希子さんが神妙な面持ちで、私の肩を抱く。

「もう、また昼休みに話を聞くから、今はしっかりして! ミスしないようにね」
「了解です」

 朝から疲れている私を希子さんは労って、受付が開始する前に肩を揉んでくれた。
 後輩思いの希子さんに感謝し、私は精を出した。
 患者さんやその家族が不安を抱かないようにと明るい声で対応した。
 自分の心の奥は不安でいっぱいだったが。

 今日は弁当持参の日なので、休憩室へ行く。
 いろんなことを考えながら作った弁当は、ご飯に肉と野菜を炒めたのをのせただけの簡単なものだった。
 希子さんのお弁当にはいつものように栄養バランスの整ったおかずが並んでいた。
 食べている間は他愛もない話をしていたが、食べ終えてから希子さんは真剣な顔になる。

「さて、どんな答えを出したのか教えて」
「郁巳先生を選ぶことにしました。まだ本人には伝えていませんけど」
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