このドクターに恋してる
 今すぐにですと答えたいところだが……私は肩をすくめる。

「それが連絡先を交換していなくて、ちょっと困っています」
「ええっ、どうしてよ?」
「聞くタイミングがなかったというか、交換しようという話にならなかったので」

 苦笑するしかなかった。
 本人に早く伝えたいのに、連絡する方法がないとは情けなくなる。

「それじゃあ、院内で声を掛けるしかないわよね」
「そうなんですけど、どこにいるかもわからないし、そもそも今勤務しているかもわからないんですよねー」
「んー、仕事終わってから外科に行く?」
「私みたいのが外科に行って、先生の所在を聞いてもいいものなんでしょうか?」

 希子さんは「んー」とまた唸って、「あ!」と良案が思いついたような顔をした。
 前のめりになる希子さんにつられて、私も身を寄せる。

「宇部先生に聞いたら?」
「それは、さすがに失礼すぎません?」
「そうだけど、一番手っ取り早いと思うよ?」
「でもー……そうですね。まったく会うことがなかったら、最終手段として考えてみます」

 会いたいと思うときに限って、チャンスは訪れない。
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