このドクターに恋してる
「宇部先生との食事をキャンセルしてほしいとか、自分を選んでほしいとか、自分だけを見てほしいとか言われました」
「あー、そういうこと……って! そんなことを言う人なの? 全然想像できなくって、またまたビックリだよー」
「私も予想してないことを言われて、ビックリでした。でも、本気なのがすごい伝わってきて、なんていうか、それで……」
「ほだされちゃった?」
「そういうことです……」

 あんなにも気持ちをぶつけられたら、心が動いてしまうのは致し方ないと思う。
 私を特別に想ってくれて、あまり知られたくない家庭のことも話してくれた。
 彼のいろんな言動には戸惑いつつも惹かれていく一方だった。好きにならない理由がなく、好きになるのは当然の流れのように感じた。
 流されてしまったと言えば、そうだが……好きであることが幸せに思える。
 私は組んだ両手を胸もとに持っていき、郁巳先生の顔を思い浮かべた。あの笑顔を思い出すだけで、心が満たされるのだった。

「好きになってしまって……好きでいられることに今、幸せをすごーく感じています」
「まあ、うっとりしちゃって。その気持ち、ちゃんと本人に伝えるのよ」
「言えるかなー、頑張ります」
「大丈夫、陽菜なら言えるよ。で、いつ言うの?」
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