このドクターに恋してる
「コース料理にしようかと思うけど、他に食べたいのがあれば遠慮なく言って」
「コース料理が食べたいです。メインが選べるんですね。私、チキンにします」
「うん」

 郁巳さんもチキンが食べたかったと言い、同じ料理を注文した。
 美味しいワインがあると教えてくれたが、オンコール勤務の郁巳さんに合わせてウーロン茶を希望する。

「飲んでもよかったのに」
「郁巳さんが飲めるときに一緒に飲みたいです」
「ありがとう。じゃあ、またの機会だね」
「はい」

 料理はとても美味しく、私はひとつひとつに感動した。
 終始和やかな食事で、今夜泊まることの緊張感が薄れていった。
 レストランを出て、スーパーに向かいながら私は膨らんだお腹をさする。
 
「けっこう量があったので、お腹膨れました」
「あとで見るのが楽しみだ」
「えっ、見る?」
「あ、いや、ごめん。見ないかな」

 郁巳さんは口を手で覆い、目を泳がせた。
 どうやら彼は今夜、私の腹部を見るつもりでいたようだ。そこだけに限らないだろうけど……。
 だが、あからさまに言ったことを後悔したらしい。
 なんだか慌てた様子がおかしくなり、私は笑って彼の背中を軽く叩いた。
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