このドクターに恋してる
 私は水色、郁巳さんは紺色の浴衣を着た。

「郁巳さん、よく似合っていて素敵です」
「陽菜も似合っているよ。かわいいのに、なんか色気もあっていいね」
「色気って、もう郁巳さんったらー」

 嬉しいことを言われて、照れくさくなった私は郁巳さんの肩を押した。
 彼はびくともしないで、私の手をしっかりと握り「行こう」と微笑む。

「出たら、ここで待ってるね」
「はーい」

 湯上がり処の前で私たちは繋いでいた手を離し、右と左に別れた。
 そして、温泉を堪能した三十分後に再会する。
 私はコップにミネラルウォーターを注ぐ浴衣姿に郁巳さんに寄った。

「お待たせしました」
「俺も今来たところだよ。のんびりできた?」
「はい。郁巳さんもゆっくりだったんですね」
「ああ、サウナにも入ったから」

 郁巳さんはミネラルウォーターをゴクゴクと一気に飲んだ。
 私も喉が渇いていたので、同じように飲んでひと息つく。

「はあー、お風呂上がりの一杯は最高ですね」
「陽菜は水でさえも美味しそうに飲むね」
「だって美味しいんですもの。でもビールだったら、もっと美味しいですよねー」
「夕食でビール頼もうか? ワインがいい?」
「んー。悩むけど……ビールをちょっとだけにします」
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