このドクターに恋してる
「あの、郁巳先生が医者を目指すようになったきっかけは……あ、お父さんもお医者さんですものね。小さいときから医者になるのが当たり前みたいな感じでした?」
私の質問に郁巳先生は一瞬動きを止めて、ゆっくりと視線を私に合わせた。
「ん、そんなとこ……」
なんとなく合っているといった曖昧な答えに聞こえた。もっと深いきっかけがあったのかもしれない。
親が医者だから医者になったのだろうと安易な考えを口に出した私が悪い。
聞き方を間違えたかも……。
「郁巳先生、すみません」
「えっ?」
私の謝る理由がわからなかったようで郁巳先生は小首を傾げた。
「たぶん、ほかにもきっかけがありましたよね? それなのに、私が勝手に想像してしまったから」
「ああ、そういうこと。別にいいですよ。言われ慣れていることですから、気にしなくていいです」
郁巳先生も優しい。でも、これ以上踏み込んで聞くな……と言われたように感じた。
その証拠に、郁巳先生は話を続けようとせず、おもむろに腰を上げて化粧室に向かった。
私の質問に郁巳先生は一瞬動きを止めて、ゆっくりと視線を私に合わせた。
「ん、そんなとこ……」
なんとなく合っているといった曖昧な答えに聞こえた。もっと深いきっかけがあったのかもしれない。
親が医者だから医者になったのだろうと安易な考えを口に出した私が悪い。
聞き方を間違えたかも……。
「郁巳先生、すみません」
「えっ?」
私の謝る理由がわからなかったようで郁巳先生は小首を傾げた。
「たぶん、ほかにもきっかけがありましたよね? それなのに、私が勝手に想像してしまったから」
「ああ、そういうこと。別にいいですよ。言われ慣れていることですから、気にしなくていいです」
郁巳先生も優しい。でも、これ以上踏み込んで聞くな……と言われたように感じた。
その証拠に、郁巳先生は話を続けようとせず、おもむろに腰を上げて化粧室に向かった。