このドクターに恋してる
 先生たちが帰り、兄夫婦と片付けをしていると美結に呼ばれた。早速お化粧ごっこをしたいと言われて、私はお客さまの役をしていた。
 片付けは兄たちに任せて美結と遊び始めたのだが、郁巳先生とのことばかりを考えてしまって、ちゃんと遊んでいなかった。
 私がしっかり相手をするようになり、美結はご機嫌になった。小さい手で私の髪をいじり、楽しそうにくるくると巻いている。
 お世辞にもきれいに巻けているとは言えないが、文句を言ってはいけない。

「こうでいいですかぁ?」
「はい、いいでぇす! 満足です」

 美結は笑顔で返す私から離れて、ニコニコ顔で美久さんのところに行った。

「ママー、ひなちゃん、みてー。みゆがやったんだよ」

 美久さんは私を見て、苦笑する。

「すごいねー。いいの、もらったね」

 なにがすごいと言っているのかは判断できないが、美結のご機嫌さは保たれていた。同じことを兄にも話すほどに。
 私を見た兄が噴き出す。
 失礼な兄だ。

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