プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
 莉都花は、今日のよき日を祝ってくれるたくさんの大事な人に見守られながら、大好きな人のもとへと一歩、また一歩と歩み寄る。

 隣の父がとても緊張しているのがおかしくて、莉都花はあまり緊張は感じなかった。それよりも温かい思いで胸がいっぱいになっている。

 柊仁のもとへたどり着けば、それは最高潮に達し、二人はベール越しに微笑み合った。

 皆に見守られながら愛を誓い、指輪を交換し、そして、二人は今、何の隔たりのない状態で真っ直ぐに見つめ合っている。

 牧師の合図をきっかけに、柊仁がそっと近づいてくるのを確認すると、莉都花はそっと目を閉じた。

 音も立てずに二人の唇がふわっと触れ合い、二人は誓いのキスを果たす。

 そして、ゆっくりと離れていくはずの唇は、なぜか触れ合ったままで離れない。それどころか柊仁に腰をグッと引き寄せられ、強く唇を押しつけられる。

「んっ!?」

 思わず声が漏れるが、神聖な場所で騒いではいけないと、莉都花は大人しく口づけられたまま、解放されるのをひたすら待った。

 結局、どのくらいの時間そうしていたのか莉都花にはわからないが、式場内に呆れた空気が漂う程度には、二人は口づけ合っていた。

 目を開けてすぐに飛び込んできたのは柊仁のいじわるな笑みで、それを見た莉都花は小さく「バカっ!」と彼を叱る。

 しかし、柊仁はそれすらも楽しんでいるようで、くすりと笑いながら、莉都花の耳元に顔を寄せ、莉都花にだけ聞こえる声で囁いてきた。

「りっかちゃんがどれだけ愛されてるか見せつけてやらないといけないから。誰よりも深く俺に愛されてるって」
「……バカっ」

 もう一度小さくそう呟くが、柊仁からの愛が嬉しくて、結局はその顔に笑みを浮かべていた。

 二人の深い愛は、疑いようもなく、皆の前で証明されたことだろう。互いに愛しい気持ちを全身から溢れさせ、見つめ合っていたのだから。
< 149 / 154 >

この作品をシェア

pagetop