プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
***

 リビングテーブルで、仕事で使う資料を作成していれば、ドタドタと騒がしい足音が聞こえてきた。

「ねえ、ママ。パパが邪魔する。ウザい」
「おい、親に向かってウザいはないだろ」
「だって、ウザい」

 十四歳になる娘・明日実(あすみ)と柊仁が言い合いながら、莉都花にまとわりついてくる。

「もう、今度は何?」
「服選んでたら、あれにしろ、これにしろって口出してくるの」
「口出しって、俺は見立ててやってるだけだろ」

 またかと莉都花はため息をこぼす。

 思春期に突入した明日実は、柊仁にしつこく構われるのを嫌い、こうして度々ケンカに発展するのだ。

「もうそんなことでケンカしない。柊仁はもうちょっと娘の意見を尊重しなさい。自分の好きな格好するのが一番いいんだから。ね?」

 服装に口を出されるのが面白くない気持ちはわかるから、そうやって柊仁を諫める。柊仁はしゅんと項垂れているがしかたない。

 柊仁は明日実に構いすぎているきらいがあるから、少し釘を刺しておいたほうがいいのだ。愛情からくる行動だとわかってはいるが、このままひどくこじれるのは困るから、こうして適度に莉都花が間に入ってやらねばならない。

 そして、柊仁に言うべきことを言ったら、次は明日実だ。

「明日実はウザいなんて言わないの。パパは明日実をかわいくしたくて言ってるだけなんだから。もうちょっと言い方に気をつけて。パパだって、そんな言い方されたら悲しいんだから。ね?」

 明日実も柊仁とそっくりな仕草で項垂れ、小さく「はい」と答える。

 どちらも聞き分けはいいなと思い、莉都花はくすりと笑いをこぼした。
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