プレイボーイと恋の〝賭け〟引き
 カウンター席に柊仁と隣り合って座れば、すっとメニュー表を渡される。

「俺のおごりだから、好きなもの何でも頼んでいいよ」

 ただより高いものはない。そんな言葉が脳裏に浮かぶ。

 おそらく悪い人ではないのだろうが、女性に囲まれていたときのインパクトが強すぎて、警戒心を捨てられない。

 莉都花が黙り込んでメニュー表をにらんでいれば、柊仁はおかしそうに笑う。

「心配しなくても酔い潰そうとか考えてないって。俺、これでも紳士だから」
「どこが」

 反射的にツッコんでしまった。

 初対面の人に取る態度ではないが、この男にはこのくらいでいい。これまでのやりとりで、遠慮をしても無駄だともうわかっている。

 実際、柊仁は「りっかちゃん、辛辣だなー」と言いながら笑っていて、少しも気にしていないようだ。

 どちらかといえば、先ほど『哲さん』と呼ばれていたバーテンダーが強く反応している。

「はははっ。お前にしては珍しく塩対応されてるじゃないか」

 彼は笑いながら柊仁の肩を叩いている。

 莉都花は思わず苦笑いを浮かべた。

 このバーテンダーの発言からして、柊仁はいつも女性にちやほやとされているのだろう。きっとここへもたくさんの女性を連れ込んでいるに違いない。第一印象通りの男だ。

 莉都花はそれをなぜだか少し残念に思った。
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