❁live your life❁

母さんの心の不安定さを理解している上で、今回の事件の事を話すのは大変だっただろう


父親の疲れ顔が物語っている


「父さん、ありがとう」


「謝るのは、こっちだ。今まで、辛かったな。ゴメンな」


そう言うと、父親は小さい子にする様に俺の頭を撫でた


「やめろよ、子供じゃねえのに」


それが照れ臭くて思わず父親の手を払った


「何を言ってる。お前は、いつまで経っても父さんと母さんの子供だぞ」


そう笑顔で言うと、くしゃくしゃと頭を撫でた


「そうね。海月も汐月も私達からすれば、ずっと子供よ。海月、今まで辛い思いさせてごめんね。こんなお母さんで、本当にごめんね」


母親は涙を流しながら、壊れ物を触るみたいに優しく、そっと俺の背中に腕を回した


喉の奥が熱くなって気付けば、いつの間にか涙が頬を伝(つた)っていた


情けない程、涙が出て止まらなかった

< 337 / 369 >

この作品をシェア

pagetop