1日限りのニセ恋人のはずが、精鋭消防士と契約婚!?情熱的な愛で蕩かされています




***



「じゃあ、いってきます」
「いってらっしゃい」

紗彩は屋敷の通用門から自転車を押し出した。
今日は病院での受付だから、黒いスーツを着ている。
小柄で童顔の紗彩は季節外れの就活生か病院の新人研修に見えそうだ。
スーツの上に黒のダウンジャケットを重ね、手袋もしっかりはめて完全防寒体制だ。
なにしろ自転車で風を切ると、まだまだ二月は肌寒い。
紗彩の愛車は、赤のシティサイクル。ロードバイクほどスポーティーではないが、ママチャリよりはスピードが出る。
愛用の銀色のスポーティーなヘルメットも着用してこぎ出した

(今日もいい一日になりますように)

白い息を吐きながら、紗彩は足立病院の自転車置き場にすべり込んだ。

病院本館の四階までエレベーターで上がると、受付会場になっている大ホールの入り口にはもう人影が見えた。
警察官や消防士には体格がよくて背の高い人が多いから、健診を受けに来たのだとすぐにわかる。

ホールの入口に、ニコニコしている希実が立っていた。希実は足立病院の医事課に勤めているのだ。

「おはよう。今日はよろしく」
「こちらこそ、よろしく」

希実は、背が高くて知的な顔立ちの美女だ。
ややキツイ印象を受けるけど、実は涙もろくて笑い上戸というユニークな性格の持ち主だ。






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