1日限りのニセ恋人のはずが、精鋭消防士と契約婚!?情熱的な愛で蕩かされています
「終わったらチョッと話があるの。時間ある?」
「大丈夫だよ」
「じゃあ、後でね」
九時になると同時に受付がスタートするから、紗彩はその前にトイレを済ませておくことにした。
女性用洗面所から廊下に出たら、健診会場になっている階なのにパジャマ姿の男性がウロウロしている。
おそらく入院患者だろう。
迷っているのかと思って紗彩が声をかけようとしたら、患者がポケットからライターを取り出すのが見えた。
なにをするんだろうと思っている間に、なんと自分のパジャマに火をつけようとする。
「ああっ」
紗彩が大きな声を出したからか、患者がなにかわめいている。
おまけに燃えやすい生地なのか、あっという間に袖口から炎が広がっていく。
「誰か~、誰か来て~!」
紗彩は大きな声で人を呼び続けた。
自分の着ていたスーツのジャケットを脱ぐと、患者の燃えている片袖が空気に触れないように覆ってしまおうと試みた。
たしか、火を消すには空気を遮断するのが一番のはずだ。
だが、患者が暴れていて近寄れない。