1日限りのニセ恋人のはずが、精鋭消防士と契約婚!?情熱的な愛で蕩かされています



オリジナルスウィーツについて夢中になって話していた千穂が、突然「あっ」と焦ったような声をあげた。

「私ったら、ごめんなさい。お母様が入院していらっしゃるのに浮かれてしまって」

「ありがとうございます。体調は落ち着いてきましたから、もう大丈夫です」

紗彩の答えに感に堪えない顔になった。結都の家族に対して気を使っていると思われたようだ。

「母もご挨拶したかったと申しておりました」
「でも、お母様が家にいらっしゃらないと毎日が心細いでしょう?」

その言葉に、結都が息をのんだのがわかった。

「そうだった。君はあそこにひとりで住んでいるんだ」
「ええ」

「俺としたことが、うっかりしていた」

うっかりという意味がわからない紗彩を置き去りにして、白川家の三人はどんどん会話を進めていく。

「お嬢さんがひとりきりで暮らしているなんて、不用心だ」
「そうね。式は挙げなていなくても、入籍しておけば世間は納得しますわ」

「あの」

紗彩も話しに加わりたかったのだが、口を挟めない。

「一緒に住もう、紗彩」

あげくに結都が突拍子もないことを言いだした。
結婚前の紗彩がひとりで暮らしているのは危ないから、結都が梶谷家に同居するというのだ。

「いえ、そんなこと!」

紗彩は何度も断ろうとしたが、結都の両親に押し切られてしまった。
言いだしたのは結都だし、彼の両親が賛成している以上、紗彩に断れるはずもない。


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