1日限りのニセ恋人のはずが、精鋭消防士と契約婚!?情熱的な愛で蕩かされています
梶谷乳業への援助はあっさり決まったものとされて、ふたりで暮らすことが今日の話題の中心になってしまった。
「いちおう、母の承諾を得ないといけないので」
なんとか逃げ口上を言ってみたが、三人対ひとりでは分が悪い。
気がつけば入籍する日や、帰りにふたりで住むことを母に伝える手はずまで決まっていた。
おみやげやお見舞いの花かごを持たされて、別れの挨拶もそこそこに紗彩は結都の車に乗せられた。
「ふたりが一緒に住み始めたら、顔を見に行くわね」
千穂は、とてもいいことをしたと言わんばかりの笑顔で手を振ってくれている。
もちろん正親も同様の笑顔で、夫婦そろっての見送りだ。紗彩は動き出した車から、ぎこちなく手を振った。
高速道路に入ったら、結都がスピードをあげていく。
運転中の結都に話しかけるのは申し訳なかったが、どうしても彼の気持ちを確認しておきたい。
「よかったんですか、こんなことになってしまって」
「君がひとりで住んでいると思うと、落ちつかないからな」
たしかに紗彩も母が入院してから心細い毎日だった。
かといって、形だけの結婚相手と同居するのはためらわれる。
「君はなにも気にしなくていい。人畜無害のボディーガードだと思ってくれ」