1日限りのニセ恋人のはずが、精鋭消防士と契約婚!?情熱的な愛で蕩かされています
「お見舞いのお花をいただいたわ」
「とっても綺麗ね。あ、紗彩、一階のカフェがまだ開いているからいるから飲み物を買ってきて」
紗彩が出て行ったあと、ベッドに横たわった紗彩の母が真剣な表情になっていた。
「白川さん、どういう事情があるのかあえて聞きませんが、紗彩と結婚してくださるんですよね」
少しひっかかる言葉だったが、迷いなくうなずいた。
「はい」
「ありがとうございます」
紗彩の母は丁寧な口調で言葉を続ける。
「あなたはお仕事柄、きっと責任感があって真面目な方なんでしょう」
「いえ、そんな」
「紗彩のこと、よろしく願いしますね」
おっとりしているようで、この女性はとても冷静に紗彩との関係を見ていたようだ。
「私もね、こんな人生を歩むとは思っていなかったんです」
夫婦ともに白髪のおじいさん、おばあさんになって、孫の世話をして。そんな老後をイメージしていたそうだ。
だが、そんな未来はあっけなく消えてしまった。
「人生なんて、先になにがあるのかなんて誰にもわかりませんもの」
「そうですね」
真剣に見つめられて「自分になにかあったら紗彩をお願いしますね」と頼まれてしまった。
「もちろんです」
自分の都合がきっかけだったとはいえ、ここまで関わってしまった紗彩を裏切ることはない。それだけは断言できる。
会社のためだからと俺との結婚を受け入れてくれた彼女のために、できることはなんでもするだろう。
「白川さんに聞いていただきたいことがあるんです」
「なんでしょうか」
「実は……」
紗彩の母の話は、相談ともいえない重い内容だった。