君の瞳に僕の色は映らない
「さっきからなんなの。やりたいならやれば。どいてほしいならどいてって言えば」


今までずっと黙っていた、髪の長い女子高生が口を開いた。


その内容は、内村を更に煽るような内容だけど。



「ちっ」


内村は舌打ちして、店の出入り口に向かって歩いていく。


「行くぞ」



内村には、少し自己中心的なところがあると僕は勝手に思っている。


だけど、こんな僕が反論なんてできるわけない。


少し面倒くさいけど、彼に従うしか道はない。



そう思って後ろに振り返った。


「ちょっと待って」


さっきの、髪の短い女子高生がこちらに向かって走ってくる。



「これ、内村くんに渡して。欲しかったのかもしれないからってあの子が」


そう言って、たぶん持っている中で一番大きいぬいぐるみを渡してきた。


「あと、君の分も」


そして、さっき渡されたぬいぐるみと同じものを僕の腕にぽんとのせた。


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