君の瞳に僕の色は映らない
そう考えていたところ。



「俺行ってくる」


「え?」


内村はそう言って、彼女たちのほうへ躊躇なく歩いていった。


そして、嫌な予感は当たった。



「おいお前、流石に非常識なんじゃねえの」


髪が短い方の女子高生は、アームを動かしている手を止めて振り返った。


そして隣にいた、髪の長い女子高生は、限りなく無に近い表情でじっとその様子を見つめていた。



「あ、なんか見たことあるよ。同じ学校?」


「は?知らねえよ」


「えーっと確か……三組でしょ。すぐ怒るって噂の内村くん!」


怒りが顔面に現れている内村に対し、笑顔で接する彼女。


ちなみに、内村は確かにすぐに怒ると言われている。

そう言われていると知っているのに、内村をただ煽って何がしたいんだろう。



「ごめん、これやりたかった?」


「んなこと言ってねえよ。でもその取ったもん、欲しかった奴もいんじゃねえの、考えろよ」


内村に、怒りが募っていくのがわかる。





< 4 / 50 >

この作品をシェア

pagetop