ご先祖様の力を借りて。
そう言って、愛摛はまた下を向く。

……そういえば一回だけ、愛摛のお母さんが来た。

何度も叩かれて、我慢するしかなかった……愛摛が止めてくれなかったら、あざになって残っていたかもしれない。

その後から毎日、愛摛がちいさないじめをするようになった。

本当に小さいものだったから、気にしていなかったけど。


「それなら、どうしていじめがひどくなっていったの?」

「お母さんに言われて……もっといじめなさい、お手本を見せてあげるって言われて、ちょっとひどくしないとって思ったの」


そう言って、もう一度「ごめんなさい」と愛摛はあやまる。

……私は、愛摛に守られていたのか。

それなのに、馬鹿にしていた。

なんだか申し訳なくなり、目を逸らしながらお礼と謝罪を言う。


「……ありがとう、愛摛のお母さんから守ってくれていて。私……愛摛のことを無駄なことをやらせる馬鹿だと思ってた。ごめんなさい」

「べ、別にいいよ。私のやり方もよくなかったし……」


愛摛は少し焦った様子で言う。

いや、その時はそれが一番だったと思う。

それにたぶん、全部の行動に意味があったんだろうな……

自分の部屋を掃除させることも、部屋から出てこないでと言ったことも。

そう考えながら黙っていると、愛摛が思い出したかのように言い出した。
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