ご先祖様の力を借りて。
「そ、そうだ。お母さんとお父さんのことは気にしなくていいよ。お姉ちゃんがいなくなったことを気にしてないし、顔も覚えてないと思うから。髪と目の色も……変わってるし」

「そっか……ありがとう」

「別に……」


お礼を言うと、愛摛は照れたように顔を背けた。

何も聞いてこない愛摛の優しさが、ありがたい。

……あ、そうだ。


「愛摛、友達になってくれない……かな? まだいなくて……」

「え? いいの? 私でよければ、いいけど……」


愛摛は目を丸くして、驚いた様子だ。

確かに自分をいじめていた人は嫌だけど、愛摛は私を守ってくれていた人だから。

それに優しそうだし……初めての友達にピッタリだ。

うなずくと、愛摛は表情を明るくしてスマホを取り出した。


「スマホは持ってる? 連絡先交換しようよ」

「持ってるけど……どうすればいい?」

「ちょっと貸して」
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