ご先祖様の力を借りて。
『ねぇ、幻影で隠さない? 人が浮いているように見えるよ? というか、なんで私は現世に来てるの?』

『そうだよ、アタシたち幽世にいたんだよ?』

『急にこっちに来て、驚いたんだよっ』

『そー、驚いたー』

『それに全員憑依しているし……どうなっているのかしら?』


そんなに一気に聞かれても、私もわからない。

何かが割れた音がして、限界を超えたとしか……

私が戸惑ったまま黙っていると、優幻様はため息をついて言った。


『……まぁいいや、美霊に会えたし。それより、幻影で隠さなくてもいいの? 人が浮いてるように見えるけど……』

「あ、そうですね。隠さないと」


私ははっとして、優幻様の幻影を使う。

やはり優幻様の幻影も強くなっているようで、簡単に全員を隠せた。

そのまま海晴を抱え直して、走り出す。

結界は透空様の念力で動かして運ぶ。

結界自体を動かせるけど、流石に動きが遅くなっている。

だから早く帰るためには、透空様の念力でも動かさないといけない。

私は雷を体に巡らせて、さらに早く走り出した。




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