ご先祖様の力を借りて。

第十話 医務室で

私は医務室の扉を叩く。

昨日は水間家のお屋敷に戻ってきて、医務室に怪我人たちを全員置いてすぐに部屋に戻ったので、怪我の具合はまだ知らない。

……思ったよりひどかったらどうしよう。

心配しながら、そっと扉を開けて中を見る。

そこには直斗さんがいて、出迎えてくれた。


「おや、きたのかい?」

「うん、海晴はどこ?」

「海晴ならそこで寝てるよ。少し疲れているみたいだからね、休憩させているんだ」

「そう……」


私は少しほっとする。

直斗さんも焦っている様子はないし、大丈夫そうだ。

怪我もひどくないみたいだし……よかった。

安心しながら、海晴が寝ているベットに近づく。

近くに椅子があったので、座って海晴を眺めていることにした。

そんな私に、直斗さんは話しかける。


「僕は他の怪我人のところに行ってくるからね」

「わかった」

「しばらくしたら戻ってくるから、海晴を見ておいて。部屋に戻ろうとしたら、止めてね」

「わかった」
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