ご先祖様の力を借りて。
「いった〜……ひどくない? どかそうとしただけなのに……」

「空いてない。別を探して」

「え〜、もう始まるし、探してる時間なんてないよ〜……」


話しかけてきた人の言う通り、もうそろそろ始まりそうだ。

……どうしようか、この人。

移動してくれないけど……

そう悩んでいると、ちょうど海晴が戻ってきた。


「……どうした」

「この人、この席に座りたいって」


状況を説明すると、海晴は話しかけてきた人を睨む。

そのことに怯えたのか、話しかけてきた人は「お、俺、やっぱ別のとこ行くね〜」と言って、走り去っていった。


「ありがとう」

「別に……これ、買ってきたやつ」

「ありがとう」


お礼を言うと、海晴は席に座る。

……なんだかすごく、頼もしく見える。

これも、好きだから……なのかな。

そんなことを考えていると、ちょうどイルカショーも始まったみたいだった。




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