ご先祖様の力を借りて。
頷きながら言うと、海晴は席を立って人混みに消えていった。

私はそんな海晴を見送って、目の前のプールで泳いでいるイルカを見る。

広いプールで泳いでいて、楽しそうだ。

たまにジャンプしたりもしていて、可愛らしい。

ぼーっとイルカを見ていると、知らない人に声をかけられた。


「ねえねえ、お姉さん。ここって空いてる? 座っていい?」

「空いてない」


海晴が座っていた席を指しながら言うので、私は首を振る。

……なんかすごく派手な人だ。

こう言うのを……チャラいっていうんだっけ?

話しかけてきた人は髪を金色に染めて、服を着崩してきていた。

そんな話しかけてきた人は、断ったのに諦めず、話しかけてくる。


「え〜、いいでしょ? 誰もいないじゃん」

「飲み物を買いに行ってる」

「え〜、ダメなの〜?」


……面倒臭い。

私が軽く眉を顰めていると、話しかけてきた人が海晴の席に置いておいた荷物に手を伸ばそうとした。

思わず手で弾く。
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