今日は我慢しない。
『佐柳?』



 好きだ。

 好きだよ、三条。



「……ごめん、三条」



 何に対してもまっすぐなところ。

 頑張り屋なところ。

 正義感が強いところ。

 しっかり者に見えて案外抜けてるところも、案外押しに弱いところも。


 全部、全部好きだって

 花火を見終わったら言おうと思ってたんだ。



「今日、行けない」

『――え?』



 水滴が頬を伝って、下に落ちる。



「ごめん。行けなくなった」



 どうか、三条にこの気持ちが伝わりませんように。


 母さんの嬉しそうな笑みを見ながら

 三条の奥で鳴くセミの声を聞きながら

 そう強く願った。





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