今日は我慢しない。

「捨て、た?」



 鶴城真澄がぼそりと言った。

 信じられないものを見るような目で私を見るから、思わず声を荒げる。


「言い逃れするんですか?番になったのにお母さんを捨てたこと!」

「つ、番?待ってくれ、誰が誰の番だって?」


 鶴城真澄は前のめりになって、目を見開いて私に詰め寄る。


「君は、本当に私の娘なのか?紗世(さよ)と私は番になっていたのか?」

「は……?〝番になっていたのか〟って、お母さんと番契約したんですよね」

「ああ、そうだ。でも紗世は『番契約は失敗した』と」

「……!」


 失敗した?

 そんなわけない、お母さんは番に捨てられたから倒れてしまったのだと、医者も言ってた。


「まず、私は彼女を捨てた覚えはない。本当に愛していたんだ。だから番になって一緒になろうと言ったけど、紗世に『ほかに好きな人ができたから』と断られて……」


 そこまで言って鶴城真澄はハッと息を呑んだ。


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