今日は我慢しない。


 ……嘘。

 なに、その作り話。

 信じられない。

 だってその時私を保護してたおばさんはいつもあんた達はαに捨てられたんだって……

 ……まさか、それが嘘?

 おばさんはお母さんと仲が悪くて、私にもあたりが強かった。

 おばさんが意地悪で私に嘘を教えることは十分あり得る。

 お母さんやおばあちゃんはお父さんがいない理由を濁すだけで、『捨てられた』とは言ってなかった。

 つまり、お母さんは自ら望んで番から離れたってこと?

 自分の死期が近いとわかりながら最期までお父さんに助けを求めることなく

 あんな寂しい病室で苦しみながら死んでいったと言うの?

 信じられない。

 Ωが自ら愛するαから離れるなんて聞いたことない。

 愛する人を守るために、自分から不幸になりに行くなんて……



 と、そこで私は、お母さんのある言葉を思い出した。


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