今日は我慢しない。

 それにしてもまさかあの生徒会長とこんなことになるなんて、思いもしなかったな。

 今までいろんなことがあった。

 
 初めて佐柳と話したのは生徒会選挙のとき。

 あのときは、αでなんでもできる佐柳に嫉妬して、敵意しか持てなかった。

 初めて発情したときも佐柳にめっちゃ文句言った気がする。

 嫌いなαに発情を鎮めてもらうなんて……改めてとんでもない事件だった。

 ただ、あの事件がなければ、今でも佐柳は私の嫌いな人だったかもしれない。

 ううん、あのときから私は、佐柳のことが気になってたんだ。

 遅かれ早かれ好きになってたかもしれない。

 だって、あんなにかっこいいんだもん……。


 ふと、佐柳がさっき脱いだんだろうネクタイがカバンの上に置いてあるのを見つけた。

 起き上がって、なんとはなしにそれを手にしてみる。


 ……佐柳の匂いがする。

 この匂い、好きなんだよなぁ……。


 たくさん嗅ぎたくなって、目を閉じてスゥ、と思いきりその匂いを吸い込んだ。


「……はぁ、」

 
 体の奥底がうずくように熱くなった。

 この匂いだけで蕩けそう。

 なんか不安な気持ちがなくなってきたかも……



 ……って、わたしなにしてるんだろ!?

 こんなの変態じゃん!

 ふと我に返って慌ててネクタイから手を離した。


 そのとき。



「……!」



 佐柳がそこに立っていた。


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