今日は我慢しない。

 ……それにしても、熱いな。

 熱すぎてなんだかぼーっとしてきた。

 見渡すと、外の風を受けた窓際のカーテンが揺れている。

 時計に表示されている温度計を確認してみると、いつもと変わらない数値に首を傾げる。


「佐柳、暑くない?」

「俺は全然。 暑い? 扇風機そっちに向けていいよ」


 こちらに背を向けたまま答える佐柳は、なんならカーディガンを羽織っている。

 半袖なのに背中に汗が伝っている私は、遠慮なく扇風機を自分の方に向けて風量を強くする。

 αって暑さに強かったりするのかな。

 もしくは、私だけが熱い……?
 

 ――……いやいや、その薬は飲んだし。


 風邪で発熱したかな。

 そういう具合の悪さはないんだけどな。

 最悪。こんな忙しい時に……とにかく今日の分だけでもちゃんとこなさなくちゃ。

 自席に戻ろうと踵を返すと、足がふらつき、資料の棚にぶつかってしまった。


「! あぶない!」

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