今日は我慢しない。
𓈒 𓏸 𓐍




 そして、学校に来て放課後、17時。


「お疲れ」


 早めに陸上部の練習を切り上げて生徒会室のドアを開けたら、一番奥の席にいる〝強くてかっこいいα〟がいつも通りすぎる挨拶を寄越した。


「お……お疲れ」


 そう返すと佐柳は、昨日のことなんて何もなかったかのようにいつもの笑顔をすると、机に視線を落として元々していた作業に戻る。

 肩肘をついた手を顎にあて、資料を見て何かを思案する佐柳を、私はなんとなく観察してしまう。

 伏せた目のまつ毛が影を作っている。

 まっすぐに整えられた眉の下は彫りが深く、鼻筋はスッと通って形がキレイ。


 た

 確かに、かっこいいな……?


 前から顔整ってるなとか、背高くてスタイルいいなとか思ってはいたけど

 こんなかっこよかったっけ……?

 なんだか今日はやけにキラキラして見える。

 うしろの窓から差し込む日差しのせい? 


 無性にドキドキしてきてしまって、私はブンブンと頭を振る。

 その様子に異変を感じたのか、佐柳が顔をあげて私を見た。


 その無垢な目に、ドッキーン!と心臓が大袈裟に驚いた。

 
「どうした?」

「へ!? べべべ別に何もないよ!?」

「……ならいいけど」


 佐柳はそれ以上気に留める様子もなく、また資料に目を落とした。
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